料理を作るのが好きな人なら、想像したことはありませんか?「宝くじに当たったら、仕事を辞めてオシャレなカフェを開くんだ」それも、北欧でのんびりと。
でも、それが現実にはならないことは誰もが知っています。北欧だと何語を話せば良いんだろう??とか、ビザって必要なのかな?とか、そもそも料理の腕はプロ並みではないし、など。現実の場合はいくつものハードルがありますよね。
本書は、そんな誰もが妄想する北欧カフェの夢を代わりに叶えてくれる小説です。
読んだ感想
全体を通してぬるく、のんびりとした時間が流れる良い小説でした。気さくでお人好しなサチエと、根は真面目だけど少し現実的なミドリの掛け合いも面白く読めました。
「一度きりの人生、好きなことやったらいいんじゃない」
小説全体から、サチエのそんな気持ちが伝わってきます。
こんな人に読んでほしい
- これから料理を始めてみようとウキウキしている新社会人・大学生
- 最低限の自炊はするけれど、いまいち料理の面白さが分からない社会人
- 毎日料理を作っていて「楽しむ暇なんてないよ」という忙しい主婦
あらすじ
主人公のサチエは38歳独身。夢を持っていても、そろそろ現実と向き合う必要のある年頃。
そんなサチエがフィンランドに開いた「かもめ食堂」を舞台に、地元の人達との何ともほっこりするエピソードが描かれている。事務員をしていたミドリは、会社の解散とともに今後の人生を探す旅に出る。フィンランドを選んだのは、たまたま地球儀を指差した先がそこだったから。
長年介護をした両親を亡くし、弟の事業失敗により住む家まで無くしたマサコは、テレビに映る彼らの国民性に惹かれてフィンランドへ旅行に訪れた。
二人ともフィンランドでサチエと出会い、色々あって「かもめ食堂」を手伝うことに。
フィンランド人は人見知り。初めは日本気触れの青年トンミ一人だったお客さんも、サチエの気さくな人柄と美味しい料理に魅了され、次第に人気店へ。人生半ばを迎えた3人の日本人女性と、「かもめ食堂」に訪れるフィンランド人との触れ合いが楽しめる作品。
印象に残ったシーン
■1. 初めてトンミ以外の地元の人が来店した時のシーン
「ほら、大人のほうが遠慮しているでしょう。子供のほうが主導権をとっているわ」
「大人はずいぶん愛想がいいわね。子供に気を遣かっているみたい」
「ごらんなさい。あの子、とっても手際がいいわ。たいしたものね」三人はこそこそと話しながら、様子を窺っていた。にこやかに笑いながら、ミドリがオーダーされたものを運んできた。
「これはお手製?」と一人がシナモンロールを指差した。
「あの子供はすごいわね。フィン語もしゃべれるし、店で出すパンも自分で焼いているんですって。おまけにこれ、とっても美味しいわ」(かもめ食堂 P102より一部抜粋)
■2. 続いても地元の人たちがマサコが注文したおにぎりを初めてみた時のシーン
「黒い紙よ」
「白に黒のコントラストの食べ物って、見たことあるかい」
「御飯の積み木みたい」
「あれが、このメニューにあるおにぎりなのか」
地元の人は口々にいったが、マサコには何といっているか全然わからなかった。「手で食べた。箸やフォークは使わないんだね」
「あ、中から何か出てきた」(かもめ食堂 P169より一部抜粋)
結局どちらも食べ物のシーンですね。
ちなみにこのシナモンロール、映画の中で作っているシーンが流れます。薄く広げたパン生地に直接シナモンを振りかけ、クルクル巻いてオーブンで焼いてました。
かもめ食堂にシナモンロール出てたんだ!!やっぱり良い映画♡ pic.twitter.com/CU9Nx0WDBw
— YUI (@hengweiyoui) 2015, 12月 8
国分建設さんの夏まつり、沢山のお客様にお立ち寄りいただきありがとうございました。 今日は定休日。 明日からまたよろしくお願いします。 写真は家で作ったシナモンロール。(かもめ食堂を観てたら作りたくなったのです。←影響されやすい私。) pic.twitter.com/zldXfmnL6s — せいこ@南部珈琲 (@nanbucoffee) 2015, 8月 3
映画版との比較
[amazonjs asin=”434441182X” locale=”JP” title=”かもめ食堂 (幻冬舎文庫)”]もしあなたがまだ小説も映画も手にしていないなら、小説から読むことをおすすめします。これは一般的にも言えるかもしれません。初めに映画を観てしまうと、登場人物のイメージが映画の出演者で固定されてしまい、自分の想像を楽しめなくなるんですよね。
特にフィンランド人から見たサチエは、背の小さな可愛らしい15歳くらいの少女と描かれています。実年齢を知ったときのフィンランドの人が驚く描写もありますし。現に私が読んだときは、元ジュディアンドマリーのYUKIみたいな人をイメージしていました。
それでも、大体の人がイメージ通りだったので、映画から観るのももちろんありです。トンミはイケメン過ぎる気がしましたが。
群ようこさんのおすすめ作品
群ようこさんの著書には、女性の主人公やおしゃれなカフェが良く出てきます。
かもめ食堂が気に入った人なら、次の書籍もきっと楽しめると思います。
ではでは
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